アンカリング効果とは?~根拠のない数字にも影響される心理|営業に役立つ心理学

ルート営業の成績を上げるコツ

◆ この記事をおすすめする読者の皆様

● アンカリング効果とはどんな心理効果なのかを知りたい人
● 営業マンがアンカリング効果を活用できる場面と使い方のコツを知りたい人

「アンカリング効果」とは最初に提示された数値や特徴から強い印象を受け、その後の意思決定や判断に無意識に大きな影響を及ぼす心理傾向のことです。

営業マンとお客さんとの商談の場ではアンカリング効果をうまく使うことで、営業マンのペースで商談を進めることができるようになります。

インターネット上には「最初に高い値段を提示して、後で値引き後の安い値段を提示すればお得感を作れる」といった詐欺に近いノウハウがまことしやかに溢れているので注意が必要です。

ヨシゴマ
ヨシゴマ

営業一筋20年のヨシゴマが、机上の空論ではない本当に営業現場で使えるアンカリング効果の活用法を紹介します。

◆ この記事でわかること

● ネットで簡単に適正価格が調べられるモノが増えているので正確な相場感を持つ人が多い
● 価格情報とは異なり、時間に関する情報は適正値の相場感がわからないことが多いのでアンカリング効果を発揮しやすい

◆ この記事の結論

●適正価格の情報を簡単に入手できる現代では価格に関するアンカリング効果を期待するのはリスクが高すぎる
● 営業マンがアンカリング効果を使うのは「時間」に関するものがおススメ

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アンカリング効果とは何か?

最初に提示された数字や条件が基準として働き、その後の意思決定や判断を無意識に左右する心理作用のこと。

交渉の提案者が提示した何らかの数字(アンカー)を先行して提示すると、交渉相手にフレーミング効果が与えられます。その結果、交渉相手の判断が無意識に左右されて、最終的な妥結値がアンカーに近づくという認知バイアスの一種です。

アンカリング効果(Achoring Effect)は船舶を停止させるために海底に下すいかり(アンカー、Anchor)に由来しています。

アンカリング効果は心理学者であり行動経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーの研究結果から報告された心理効果です。

アンカリング効果が使いにくい条件、使いやすい条件

アンカリング効果は営業マンから提示された最初の数字などがお客さんの心理に刷り込まれ判断の基準になることが前提になっています。

アンカリング効果が使いにくい条件と使いやすい条件があるので押さえておきましょう。

アンカリング効果が使いにい条件

アンカリング効果が効果を発揮しにくいケースは「営業マンから提示された数字が初めての情報ではない場合」、つまりお客さんがすでに適正価格などの相場感を持っている場合です。

たとえば、営業マンから次のように言われたときにどのように感じますか?

営業マン
営業マン

この缶ジュースは普段は1本5,000円で販売しているんですが、今日だけ特別に200円でお売りしますよ。

これを聞いて「5000円の缶ジュースが200円!?めっちゃお得!」と思う人はいないでしょう。

むしろ「5000円の値付けがウソなんじゃないの?200円だってまだ高いよ!」と思うのではないでしょうか?

このように営業マンから価格を提示される前から私たちの中には「基準となる適正価」があると、缶ジュースは120円くらいを適正と感じる相場感があり、アンカリング効果は起こりにくくなります。

また、現代ではインターネットの発達により簡単にモノの値段を調べることができるので、適正価ではない価格を伝えていたことが後でわかるとお客さんの信頼を失うことにつながります。

アンカリング効果が使いやすい条件

アンカリング効果が使いやすくなるのはお客さんが適正値の相場感がない場合です。

相場感がないので営業マンが最初に提示した数字を無意識に参考にしてしまいます。

ただし、アンカリング効果を悪用した価格提示でお客さんの購買意欲を煽る行為は二重価格表示として法律で禁止されています。

二重価格表示(にじゅうかかくひょうじ)
二重価格表示とは商業用語の一つ。小売店で商品が販売されている場合に、その商品の小売店での価格に併記している定価がその小売店での価格と比較してみれば大きく異なっており、これが定価からの値引率の大きさを強調し、消費者の購買意欲を刺激するようなものであれば二重価格表示とされる。 

ウィキペディア

アンカリング効果と一緒に知っておくべき心理傾向

アンカリング効果と一緒に知っておくべき心理傾向にジャムの法則があります。

用語解説 ジャムの法則

検討できる選択肢の数が増えすぎると選択をするのが難しくなるという法則。決定回避の法則とも呼ばれる。

アンカリング効果を使うためには複数の選択肢をお客さんに提示しますが、選択肢は多くなりすぎると「選ばなかった選択肢にもっといいものがあるかも?」と心配になり選べなくなります。

ジャムの法則を知っているとお客さんの購買してくれやすい選択肢の数や提案の方法がわかるようになります。

ジャムの法則についてはこちらの記事で詳しく解説しているのであわせて読んでください。

アンカリング効果を営業で活かすコツ

ヨシゴマの20年の営業経験から断言できる営業現場で本当に役立つアンカリング効果の活用方法は次の2つです。

アンカリング効果を営業で活かすコツ
  • 時間の期限に関係するケースでの使用
  • 複数の選択肢を順番に提示するケースでの使用

時間の期限に関係するケースでの使用

時間の期限に関係するケースでアンカリング効果を使うのはとても効果的です。

たとえば保険商品を売るときに初回面会のときに次のような話し方をするケースです。

営業マン
営業マン

他のお客様も3回ご面会のお時間を頂き、3回目にはご購入を判断頂いています。

お客さん
お客さん

3回話を聞いて判断するのが普通なのね…

お客さんは「何回営業マンから話を聞いたらいいのか?」の相場感が分かっていません。

保険商品の購入には3回話を聞くのが普通です、と言われると1回目の面会で打ち切ったり、4回目以降に決断を引き延ばしにくくなります。

他には商品の納期時期や質問への回答時期を伝えるときにも使うことができます。

営業マン
営業マン

ご質問の件は持ち帰って調べて3日以内に回答させて頂きます。

このように話しておいてその日のうちに回答をすればお客さんは次のように感じます

お客さん
お客さん

3日かかると言っていた回答をすぐに調べてくれるなんて、熱心な営業マンだ!

この話法は遅刻したときに到着時間を伝えるときも使えます。「あと50分で到着します!」と言って実際には30分で到着すれば相手は「思ってたよりも早かったな」と評価してくれます。

複数の選択肢を順番に提示するケースでの使用

複数の選択肢を提示するときには提示する順番を工夫するとアンカリング効果をうまく使うことができます。

たとえばパソコンの相場感がないお客さんに最初に高い製品を紹介すると「パソコンは30万円くらいするのが普通なんだ」と思ってくれる傾向があります。

逆に7万5000円のパソコンを最初に紹介すると、15万円、30万円のパソコンを高いと感じてしまい営業マンにとってありがたくないアンカリング効果が働いてしまいます。

選択肢パターン1
● 高性能パソコン A 300,000円
● 標準的パソコン B 150,000円
● 廉価版パソコン C  75,000円

選択肢パターン2
● 廉価版パソコン C  75,000円
● 標準的パソコン B 150,000円
● 高性能パソコン A 300,000円

複数の選択肢を紹介する場合には価格の高いものから順に紹介する工夫をするだけで営業マンにとって有益なアンカリング効果を引き出すことができます。

おすすめの一冊

アンカリング効果とお客さんのお得感とは切っても切り離せない関係にあります。「価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?」(リー・コールドウェル、日本実業出版社)はお客さんのお得感を引き出すための企業の価格戦略を物語調でわかりやすく読める良書です。

アンカリング効果を含むお客さんの購買心理学を学ぶことができるので一読することをおススメします。

営業マンが知っておくべき心理学だけをまとめた心理学の本「〔買わせる〕の心理学*消費者の心を動かすデザインの技法61」(中村 和正、エムディエヌコーポレーション)は広く浅く辞書的に使うことができるのであわせておススメします!

まとめ

お客さんが相場感がないケースでは営業マンが最初に提示する情報が無意識のうちに基準となり、その後の判断や行動に影響を及ぼす「アンカリング効果」が起こります。

インターネット上では最初に法外な値段を吹っ掛けて割引をする事例が紹介されていますが、インターネットの発達によりお客さんが簡単に適正価格を知ることができる現代ではリスクしかありません。また、二重価格表示を禁止する法律もあります。

営業マンがアンカリング効果を実際に活用できるのは次の2つのケースです。

  • 時間の期限に関係するケースでの使用
  • 複数の選択肢を順番に提示するケースでの使用

アンカリング効果は営業マンとお客さんの情報量の差を使った営業テクニックです。使い方によっては有効ですが、使い方を誤るとお客さんの信頼を失うので使うタイミングを間違えないようにすることが大切です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

本ブログでは営業で本当に使える心理学に基づくテクニックを営業場面別に紹介しています。

  • 初対面の信頼構築に役立つ営業の心理学
  • お客さんの説得に役立つ営業の心理学
  • おすすめの商品を選んでもらえる営業の心理学
  • 提案を受け入れやすくする営業の心理学
  • クロージングを行き詰らない営業の心理学
  • 契約後のキャンセル予防に役立つ営業の心理学

他の営業場面で本当に使える心理学もあわせてお読みください。

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