バイヤーズリモースとは?契約後のキャンセル予防に役立つ営業の心理学

ルート営業の成績を上げるコツ

◆ この記事をおすすめする読者の皆様

● バイヤーズリモースとは何かを知りたい人
● 購入後のキャンセルを減らす工夫を知りたい人

営業マンとして働いているとお客さんに十分に納得して購入してもらったはずだったのに、「やっぱり、キャンセルします」と白紙に戻されてしまうことがあります。

ヒトには購入した商品の種類や金額にかかわらず「本当にこの商品を買ってよかったのか?」と購入後に感じる心理傾向「バイヤーズリモース」があります。

せっかく契約までたどり着いた商談がキャンセルされる頻度は少なくするには、バイヤーズリモースを理解し、事前にキャンセル予防の対策を打っておく必要があります。

ヨシゴマ
ヨシゴマ

営業一筋20年のヨシゴマが購入後のお客さんの心理の動きと、キャンセル予防に使える営業テクニックを解説するよ!

◆ この記事でわかること

● バイヤーズリモースと契約キャンセルの関連性
● 購入後のお客さんのバイヤーズリモースを減らすために営業マンがとるべき対応

◆ この記事の結論

● 購入後に感じるバイヤーズリモースは「購入した判断は間違っていたから返品したい」ではなく「購入した判断は正しかったと安心させてほしい」という心理
● 購入後のアフターフォローに加えて、購入直後の一言を添えることでキャンセル予防になる

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バイヤーズリモースとは何か?

用語解説 バイヤーズリモース
  • 商品の種類や金額に関わらず、何かを購入した後に「本当にこの商品を選択してよかったのだろうか?」「自分の決断は正しかったのか?」との不安を感じる心理傾向
  • 商品の品質を問わず必ず訪れる不安で、購入後の返品や解約を検討するきっかけになる

バイヤーズリモースは英語で「Buyer’s Remorse」と表記します。buyerは「購入者」、remorseは「良心の呵責(かしゃく)」とか「自責の念」という意味です。

「購入後に自責の念を感じるのは粗悪品を無理やり買わされたときでは?」と思うかもしれませんが、バイヤーズリモースは商品の品質とは関係なく訪れる不安であることがわかっています。

バイヤーズリモースでお客さんがすぐに「契約をキャンセルしたい」と思い始めるわけではありません。

バイヤーズリモースでは 「購入した判断は間違っていたから返品したい」ではなく「購入した判断は正しかったと安心させてほしい」という感情がまず芽生えます。

その後も適切なフォローがなされないとお客さんは購入のキャンセルを検討するようになります。

営業マンはお客さんのこのような心理傾向を理解し、キャンセル予防の対策を打っておくことが大切です。

ハーバード・ビジネススクール 教授 W.R サッサー Jrによると、バイヤーズリモースを乗り越えることができれば、解約や返品のリスクはグッと低くなるだけでなく、リピート率の向上にもつながると報告されています。

バイヤーズリモースが起こる原因とタイミング

お客さんのテンションは購入直後をピークにして、購入後に少しずつ下がっていく

バイヤーズリモースは商談の緊張感から解放されることで起こる心理効果で、商品の契約の直後におこります。

通常、お客さんは営業マンとの商談の中で次第にテンションを上げていきます。

そして、テンションが十分に上がると今までは要らないと思っていた商品を「買いたい!」と考えるようになります。このときお客さんは「不要の壁」を乗り越えています。

購入後には徐々にテンションが通常の状態に戻っていきます。

テンションが下がっていくと同時にで「本当にこの選択でよかったのか?」と考えるようになるのが、バイヤーズリモースが起こる原因と考えられています。

購入後のテンションの低下は購入直後から起こり、購入価格が高いほど早期にバイヤーズリモースにより後悔し始めることがわかっています。

バイヤーズリモースと一緒に知っておくべき心理傾向

バイヤーズリモースと一緒に知っておくべき心理傾向にはテンションリダクション効果があります。

用語解説 テンションリダクション効果

重要な決定をするときに感じる心理的な緊張感がなくなったときに、警戒心が弱くなったり注意力が散漫になる心理傾向

テンションリダクション効果はその名の通り、緊張(tension)が減少(reduction)する効果です。

テンションリダクション効果がおこると、通常よりも注意力が低く無防備な状態になり、普段はよく考えることでもあっさりと受け入れられるようになります。

たとえば、高価な車を購入した後にオプションの追加を勧められると「せっかくだからそれも一緒に」と値段をあまりよく考えずに買ってしまいます。

この販売方法はクロスセルと呼ばれる手法で「お客さんの財布のひもが緩んだタイミングがもっとも売りやすい」とされています。

バイヤーズリモースを営業で活かすコツ

バイヤーズリモースはすべてのお客さんで必ず起きる心理傾向なので、バイヤーズリモースを起こさないようにすることはできません。

営業マンにできることはバイヤーズリモースが契約のキャンセルにつながらないように対処することです。

バイヤーズリモースを感じているお客さんは商品の解約や返品を望んでいるのではなく、漠然とした不安を解消したいと考えているいるので、不安を取り除けるように対応します。

バイヤーズリモースへの対応策には次の2つが有効です。

バイヤーズリモースへの対応策(1) アフターケアを行う

アフターフォローはお客さんのテンション下落によるキャンセルの予防につながる

バイヤーズリモースへの基本的な対策はお客さんへのアフターケアを行うことです。

アフターケアの具体的な手法は次のようなものがよく使われています。

バイヤーズリモース対策になるアフターケア
  • 購入後の定期的な連絡
  • サンクスレターの送付
  • 次回の購入時に使えるリピーター特典の付与

いずれもお客さんが1人で悶々と不安を抱えたままの状態が続かないようにフォローし、コンタクトを取り続けられるようにするための対策です。

バイヤーズリモースへの対応策(2) テンションリダクション効果の利用

ヨシゴマ
ヨシゴマ

バイヤーズリモースの予防にヨシゴマが意識してやっている営業テクニックを紹介します!

バイヤーズリモースによる契約キャンセルを減らすには購入後のアフターフォローに加えて、購入直後の対応が大切になってきます。

購入直後におこる心理現象のテンションリダクション効果を使ってクロスセルで別の商品を売るのではなく、バイヤーズリモース対策をするのがおすすめです。

テンションリダクションのタイミングでお客さんに次のようなことを伝えておくとバイヤーズリモースによるキャンセル対策になります。

購買の決断を行ったことは正しい判断であった
正しい判断をしてくれて営業としても嬉しい

バイヤーズリモースによりお客さんが不安になったときには、購入直後の営業マンの言葉を思い出して不安を払拭してくれやすくなります。

おすすめの一冊

営業マンなら誰でもお客さんの心理に興味があると思います。お客さんの心理を心理学の観点からまとめた「[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61」(中村和正、エムディエヌコーポレーション)は読んでおくことを強く勧める一冊です!

心理学の分野にはいろいろな分野がありますが、本書では消費者の購買に関連する心理学だけがまとめられているので、営業マンが知りたいことだけを効率よく知ることができます。

心理学の通りにすべてのお客さんが動いてくれるわけではないところも営業の醍醐味の一つですが、本書に書かれていることは「あぁ、確かにこんな気持ちになる」と思えることも多く「知っておいて損はない」レベルの情報が満載です!

まとめ

お客さんが購入後に「これを買ってよかったのかな?」と不安を感じる心理傾向をバイヤーズリモースはと呼びます。

バイヤーズリモースは避けることはできないので、営業マンはバイヤーズリモースが契約のキャンセルにつながらないように事前に予防策を打っておくことが必要です。

購入後に定期的にお客さんとコンタクトをとるためにサンクスレターなどを送るのも予防策の1つになります。

また、契約直後にお客さんの緊張感がテンションリダクション効果により緩んでいるタイミングを活用するのも有効な手段です。このタイミングで以下のことを伝えます。

  • 購買の決断を行ったことは正しい判断であった
  • 正しい判断をしてくれて営業としても嬉しい

バイヤーズリモースを乗り越えれば返品のリスクが減り、リピート客になる可能性が高まり事業の収益性が上がることが期待できます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

本ブログでは営業で本当に使える心理学に基づくテクニックを営業場面別に紹介しています。

  • 初対面の信頼構築に役立つ営業の心理学
  • お客さんの説得に役立つ営業の心理学
  • おすすめの商品を選んでもらえる営業の心理学
  • 提案を受け入れやすくする営業の心理学
  • クロージングを行き詰らない営業の心理学
  • 契約後のキャンセル予防に役立つ営業の心理学

他の営業場面で本当に使える心理学もあわせてお読みください。

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