スリーパー効果とは?~提案を受け入れやすくする営業の心理学|営業に役立つ心理学

ルート営業の成績を上げるコツ

◆ この記事をおすすめする読者の皆様

●スリーパー効果とはどんな心理効果なのかを知りたい人
● 営業マンがスリーパー効果を活かすコツを知りたい人

「スリーパー効果」とは信頼性が低い情報源から得た情報であっても、時間の経過とともに情報源が忘れられて情報の内容だけが記憶に残り、情報源の信頼性の低さが減少していく心理傾向のことです。

お客さん情報の内容よりも情報源の信頼性を早く忘れてしまうためにこのような心理傾向が起こります。

お客さんに1回だけ会うタイプの飛び込み営業ではスリーパー効果を使う機会はありませんが、同じお客さんに繰り返しあうルートセールスなどでは営業マンの伝えたいことをお客さんに刷り込むときに役に立てることができます。

ヨシゴマ
ヨシゴマ

営業一筋20年のヨシゴマが、ボディーブローのようにじわじわとお客さんの心理に働きかけるスリーパー効果の使い方のコツを紹介します。

◆ この記事でわかること

● お客さんを説得することは逆効果。ルートセールスでは営業マンの希望を「お客さんの希望」だと錯覚してもらう営業テクニックが役に立つ
● 情報源を忘れた後にも情報内容を覚えておいてもらえるようにキャッチフレーズを使って記憶に残させるのがポイント

◆ この記事の結論

● お客さんがすぐに営業マンの言葉を信じてくれなくても、時間をかけて繰り返し伝え続けるうちにお客さんの意識に変化を及ぼすことができる
● 他人からの提案を受け入れることをプライドが邪魔をしてしまうお客さんでも、スリーパー効果を使えば「自分で考えた提案」と思ってもらうことができる

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スリーパー効果とは何か?

「スリーパー効果」とは信頼性が低い情報源から得た情報であっても、時間の経過とともに情報源が忘れられて情報の内容だけが記憶に残り、情報源の信頼性の低さが減少していく心理傾向のことです。

スリーパー効果(Sleeper Effect)は米国の心理学者 カール・ホブランドが提唱した心理効果で、日本語では「仮眠効果」とか「居眠り効果」と呼ばれることがあります。

しかし、スリーパー効果の語源は睡眠とは関係なく、敵国から送り込まれたスパイを意味するsleeperが由来です。

営業マンからお客さんの記憶に送り込まれた情報は、しばらくの間はスパイのように身を潜めていますが最後にはお客さんも気づかない間にお客さんの考えを変えてしまいます。

スリーパー効果の実例

スリーパー効果による心理効果を証明している有名な2つの実例を紹介します。

スリーパー効果の2つの実例
  • 戦争のプロパガンダ映画
  • 抗ヒスタミン剤に関する学術論文と大衆紙記事

スリーパー効果の実例1:戦争のプロパガンダ映画

第2次世界大戦中のアメリカで戦争のプロパガンダ映画「Why We Fight(なぜ我々は戦うのか?)」が兵士の思想を扇動する効果を調べたところ、次のような結果がわかりました。

  • プロパガンダ映画を見た直後には多くの兵士はあからさまな戦争の宣伝映画に疑念を持ち、映画のメッセージにむしろ不信感を持っていた
  • 映画を見た9週間後頃に映画を見せられた兵士たちは、見せられなかった兵士たちよりも戦争を支持するようになり、より熱心に任務遂行の士気が上昇した

この事例は当初は軍の宣伝部によって作られた映画のあからさまな扇動を素直に受け取れなかった兵士たちが、時間の経過とともに映画の製作主体や細部の内容は忘れてしまい映画の中心的なメッセージだけが記憶に残り、行動を変化させることを示しています。

スリーパー効果の実例2:抗ヒスタミン剤に関する学術論文と大衆紙記事

学生を2つのグループに分けて「抗ヒスタミン薬を処方箋なしで販売すること」への賛成派と反対派を作り、自分の意見とは逆の主張の記事(賛成派には処方箋なしでの販売に反対する記事を、反対派にはその逆)を読んでもらいました。

それぞれのグループの半数に記事の出典が「学術論文」であると伝え、残りの半数には「大衆紙」が出典だと伝え、自分の主張を変えるかどうかを調べたところ次のような結果がわかりました。

直後に意見を変えた学生の割合
  • 記事の出典が「学術論文」と伝えられた学生の23%が主張を変更した
  • 記事の出典が「大衆紙」と伝えられた学生の7%が主張を変更した

権威性が高い「学術論文」と権威性が低い「大衆紙」の影響を受けてより多くの学生が自分の主張を変化させていました。

そして4週間後にもう一度、主張を変えるかを調べたところ次のような結果がわかりました。

4週間後に意見を変えた学生の割合
  • 記事の出典にかかわらず当初の主張を変更した学生の割合は同程度(13%程度)だった

この事例は当初は情報源の権威性に影響を受けても時間の経過とともに情報源の信頼性を忘れ、情報源の違いによる影響は1か月程度でなくなってしまうことを示しています。

スリーパー効果と一緒に知っておくべき心理傾向

スリーパー効果は相手を説得するときに働く心理傾向ですが、同じように相手を説得するときに覚えておくべき心理効果に「ブーメラン効果」があります。

ブーメラン効果とは

相手を説得または強制すればするほど相手から反発を受けてしまい、説得内容とは逆の行動や態度に導いてしまう心理効果。

親や先生に「勉強をしなさい!」と言われて逆にやる気を失った経験は誰にでもあると思います。この心理傾向をブーメラン効果と呼びます。

説得や強制をする相手や指示内容に反発をしたい訳ではなく「自分の思い通りに自由に行動する権利」を奪われそうになることに反発し天邪鬼(あまのじゃく)な反応を示します。

お客さんは提案内容に関わらず「他人から強制されたくはない」「自分の判断で決めたい」と望んでいることは忘れてはいけません。

スリーパー効果を営業で活かすコツ

ヨシゴマ
ヨシゴマ

ヨシゴマの20年の営業マンの経験からスリーパー効果を活かすコツを紹介するよ。
プライドの高いお客さんを相手にするときには絶対必要なコツだよ!

営業マンは「その商品は要らない、買わない」と言っているお客さんの心理を変えて、購入に導くのが最大の業務内容になります。

しかし、人は誰でもプライドを持っていて他人から影響を受けて自分の意見を変えたくないと思っています。営業マンはお客さんのプライドの影響をかわしながら営業提案を受け入れてもらう必要があります。

次の2つのポイントを意識してスリーパー効果を使えば営業マンの提案が受け入れやすくなります。

ポイント1:時間をかけて「本人の希望」と錯覚させる

お客さんを説得することは逆効果です。特にプライドが高いお客さんではプライドが邪魔をして好条件な提案にも反対をされてしまうことがあります。

営業マンは短期間の商談で契約をとることを望まずに、1か月以上の商談を重ねることで契約をとるスタンスで臨むことが大切です。

その結果、営業マンからの提案がスリーパー効果により「お客さんの本人の希望」だと錯覚してもらえるようになります。

ポイント2:キャッチフレーズを使って記憶に残りやすくする

スリーパー効果が働き情報源に関する記憶が弱まるには少なくとも1か月以上の時間が必要です。この間に情報源の記憶だけではなく、提案内容の記憶も忘れ去られてしまっては元も子もありません。

お客さんの記憶の手掛かりとなるキャッチフレーズを仕込んで、営業マンの提案内容を思い出してもらうきっかけになるようにします。

キャッチフレーズはできるだけシンプルにして覚えやすいものを選ぶようにします。

商談のたびにキャッチフレーズにポジティブな印象を与える情報を付け加えていき、「キャッチフレーズ=好ましいもの」といった印象を刷り込んでいきます。

その結果、情報源を忘れた後にキャッチフレーズを手掛かりに情報内容がポジティブなイメージとともに思い出され、お客さんの行動を契約に向かわせるきっかけとなります。

おすすめの一冊

今回解説したスリーパー効果を含め、営業マンが知っておくべき心理学だけをまとめた心理学の本「〔買わせる〕の心理学*消費者の心を動かすデザインの技法61」(中村 和正、エムディエヌコーポレーション)は広く浅く辞書的に使うことができるのであわせておススメします!

営業マンはお客さんのココロの動きをコントロールする業務です。心理学を学べば心の動きの傾向を理解しやすくなります。

まとめ

お客さんは時間の経過とともに情報源の信頼性の忘れ、情報の内容だけを覚えているようになります。このような心理傾向をスリーパー効果と呼んでいます。

スリーパー効果はルートセールスなどお客さんと繰り返し接触するタイプの営業マンが使える心理効果です。

営業マンの提案に対して最初は疑っていたお客さんでも、時間をかけて繰り返しアプローチすることでいつの間にか営業マンの提案を「本人が考えた提案」と錯覚することが期待でき、契約に結び付けることができます。

人は誰でもプライドがあるので他人からの強制で自分の意見を変えることに抵抗感を示すので、相手の心理負担を減らせるスリーパー効果は営業マンにとって必須のテクニックです。

スリーパー効果を使うときに注意すべきポイントが2つあります。

  • 時間をかけて「本人の希望」と錯覚させる
  • キャッチフレーズを使って記憶に残りやすくする

お客さんとの信頼関係を効率よく構築するためのテクニックであって、お客さんの役に立たないものを売りつけるためのテクニックではないので誤解をしないようにしてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

本ブログでは営業で本当に使える心理学に基づくテクニックを営業場面別に紹介しています。

  • 初対面の信頼構築に役立つ営業の心理学
  • お客さんの説得に役立つ営業の心理学
  • おすすめの商品を選んでもらえる営業の心理学
  • 提案を受け入れやすくする営業の心理学
  • クロージングを行き詰らない営業の心理学
  • 契約後のキャンセル予防に役立つ営業の心理学

他の営業場面で本当に使える心理学もあわせてお読みください。

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